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ジェネリック医薬品の特徴

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ジェネリック医薬品は何故安いのか?

新薬を開発するのは、膨大な資金と時間がかかります。今後ますます新薬をつくることは難しくなるとも言われます。
 
いま、あらゆる製薬会社が虎視耽々とねらっているのが、一つはご存じの「ジェネリック医薬品」の分野。ジェネリックは、日本では「後発医薬品」とも言います。ジェネリック医薬品は、特許が切れた薬をつくるので安価ですみます。ですから、いまは世界中の製薬会社が、どの会社のどの薬の特許がいつ切れるかを調査して、切れる何年も前から、その売れている薬のジェネリック製品をつくろうと画策しているのです。
 
ちなみに医薬品の特許期間は、特許を出願した日から20年間(申請により5年間の延長が可能)と定められています。医薬品の場合、発見してから非臨床、臨床試験を経て、製造承認を受けるまでに10~15年はかかると言われています。特許の出願は治験届を提出するより前ですので、特許期間の20年間のうち10~15年間は臨床試験などにかかる期間なのです。実際は、莫大なお金と時間をかけて開発したにもかかわらず、市場に出してから5~10年間しか独占できません。そして、特許が切れると同時に、後発メーカーがいっせいに参入してきます。売り上げ減少によって利益が減ることはもとより、膨大にかかった開発コストさえ回収しきれない場合も想定できる、たいへんに厳しい業界だといえるでしょう。
 
特許が切れたのちに後発メーカーが製造、販売する商品がジェネリック医薬品ですが、こちらは体内動態、溶解度などが先行医薬品と同等かどうかといった簡単な試験を通過するだけで販売が許可されます。ですから、ジェネリック医薬品は、先行医薬品の何分の1という安い値段で売ることができるのです。たとえば、何度も紹介している抗うつ薬SSRIのプロザック(アメリカのイーライリリー・アンド・カンパニー社)も、パテントが切れてから売り上げがガクッと落ちました。よく似た構造の薬をさまざまなライバル会社が出せるようになったからです。しかも、もともとの薬であるプロザックよりもずっと安価なので医療費が安くすみます。
 
最近では日本政府も、医療費を節約するためにジェネリック医薬品を使うことを推奨しているくらいなのです。日本の製薬会社は、プロザックのように一つで売り上げが大きい医薬品をほとんどもっていません。ですから、他社のパテントが切れるのを待って、切れたとたんに、あらゆる会社がみんなジェネリック医薬品をつくりはじめる時代です。実際、新薬をつくるとなると、20~25年ほどかかるのに対して、ジェネリックならば2~3年準備すればいいのです。つまり、売れている薬のパテントが切れる2~3年くらい前から準備を始めれば、十分に間に合う計算になります。
 
また、新薬の研究開発費用は一品目当たり150億~200億円と言われています。
 
日本製薬工業協会の会員会社のうち17社の統計によると、1992~96年の5年間に候補とされた合成化合物は総計で320,832件。そのうち自社開発によって製造承認を取得したものは、わずか53件。成功率は約6000分の1なのです。つまり、研究対象になったほとんどが途中で開発を断念せざるをえません。新薬の開発成功率は約6000分の1。膨大な失敗の積み重ねの上に、はじめて新薬ができるのです。日本でいちばん大きな製薬会社は武田薬品工業ですが、この20年で、新薬は1つか2つくらいしか出ていません。
 
ちなみに、売り上げに占める開発費は、武田薬品工業では20.06パーセント(2007年)にも上ります。日本の医薬品メーカーで開発費の割合がもっとも高いのは、売り上げ10位のエーザイで30.7パーセント。低いほうでも大塚製薬の10.96パーセントです。自動車メーカーの開発費は4~5パーセントですから、医薬品の開発費がいかに高いかがわかると思います。
 
このように新薬開発は資金も時間もかかりすぎるので、どの会社も、自社開発するより新薬を開発しているベンチャーを買収したり、パテントが切れるジェネリック医薬品をつくる方向へとシフトしているのです。ですから、当面は新薬が開発されないとささやかれています。

ジェネリック医薬品はオリジナルと効果が同じなのか?

いかにも万能なジェネリック医薬品ですが、たとえ成分がほぼ同じといっても、オリジナル医薬品との違いはもちろんあります。簡単にいえば、製造方法などが違うのです。それについて説明しますと、次のようなことです。
 
特許が切れるのは、有効成分である物質の特許である「物質特許」と、効能・効果に与えられる「用途特許」の二つです。物質特許と用途特許を「基本特許」と呼びますが、「基本特許の期間満了」が「新薬の特許期間の満了」を示していて、そこで他社がジェネリック医薬品を出すことが可能となります。
 
しかし薬の特許には、製造方法にかかわる「製法特許」や、薬の安定化など製剤上の工夫に与えられる「製剤特許」などもあるのです。一つの医薬品がいくっもの特許をもっている場合もあります。
 
基本特許を除くよ、特許の期間が満了になる時期は違うので、他社がジェネリック医薬品を開発するときでも、ほかの特許の期間が残っている場合があります。ジェネリック医薬品は、それらの特許にふれないように開発しなければならないのです。
 
そのため、ジェネリック医薬品を開発するメーカーは、新たな製造・製剤技術を開発するのですが、当然、そこでオリジナル医薬品との違いが出てくることになります。
 
もちろん、ジェネリック医薬品も、オリジナル医薬品と同等の有効性と安全性を確保したうえではじめて許可されます。しかし、ジェネリック医薬品のなかには、そうした製造方法や製剤方法の違いから、オリジナル医薬品がもっているすべての適応性を備えきれないものもあるのです。そうした微妙な違いもあって、ジェネリック医薬品よりもオリジナル医薬品に信頼性を置いて処方する医師もいます。
 
とはいえ、ジェネリック医薬品とオリジナル医薬品の効能、適応性は基本的には同じものです。何より、オリジナルを出している製薬会社の製法特許や製剤特許に抵触することなく、同等の薬をつくれるだけの開発力をもった製薬会社だからこそジェネリック医薬品を生み出せるのですから、むやみに心配する必要はありません。

 
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